石見神楽面コレクター竹内さんの『石州神楽堂』へ行ってきました!

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石州神楽堂の石見神楽面

壁一面にぎっしりと飾られた石見神楽面。
右を向いても!左を向いても!後ろを向いても!

どうぞどうぞと通された自宅裏の石州神楽堂(せきしゅうかぐらどう)には、石見神楽面コレクター、
愛好家としても知られる竹内惟臣(たけうちただしげ)さんの思いの詰まったたくさんの石見神楽面
が飾られていました。

今回は、2020年10月6日(火)に見学させていただいた様子をリポートします(^^)/





石州神楽堂の竹内惟臣さん
お話好きの竹内さん。石見神楽のお話になると何時間でも盛り上がります。

「今年で50年になるんだ。」

「いつ頃から集められてるんですか?」と聞くと、ちょうど今年で50年だとお話してくれた竹内さん。
50年で集めた石見神楽面は500点を超えるそうです。

「最初に買ったお面は覚えておられますか?」
「もちろん。あの竹山の般若の面。昭和45年9月の中日つあん(彼岸)の頃。4,000円を3,500円に
負けてもらって買ったんだ。」

“え?50年前に購入したお面の値段を覚えてる!?”

まあ、最初のお面だったからかな?と思いながら、聞いていると「あれは〇〇の面で■■円だー。」「あれは、
〇〇さんから▲▲の時にもらったんだ!」などなど。なんと!竹内さん、500を超える神楽面を所有されて
いるのに、1つ1つのお面の購入時期、値段、作者をすべて覚えているんです!



石州神楽堂の石見神楽面
上の左から2番目が、50年前竹内さんが一番最初に買った般若面

それから竹内さんのお母さんに「般若」を買ったなら「天狗」と「鍾馗」の3つを揃えた方がいいと勧められ、
「天狗」の面を7,000円、「鍾馗」の面を4,000円で購入されたそうです。
「般若」には「厄除け」、「天狗」には「邪気祓い」、「鍾馗」には「無病息災」の意味があるから
この3つで家内安全になるからという理由だったとか。


そこで終わるかと思ったら、、、!

最初の「般若」の面を買った石見神楽面職人の故・岩本竹山さんに「面を一式集めてみんか?」と言われ、
この一言から竹内さんの50年が始まったそうです。



石州神楽堂の天蓋
天井に飾られた天蓋。竹内さんの手作りです。

元々建具職人だった竹内さんは、石見神楽面の額を作って岩本竹山さんに納めたり、そのお金で神楽面を
買ったり、費やしたお金はなんと1,000万円以上(゜o゜)!!!

こんなに好きなら自分で作ったらいいのにと思い「竹内さんは作らないんですか?」と聞くと、
「作るで!型取ったりして。でも絵心が無いけ~書かれん。」と!

なるほどです!




石州神楽堂の石見神楽面
下の右から3番目が竹内さんが初めて買った天狗の面
石州神楽堂の蛇頭
もちろん!大蛇の蛇頭や蛇胴もあります

それにしても、すごい数!

こんなにたくさんの石見神楽面を一度に観ることができる場所は、浜田市ではここだけです!
きっと全世界でもここだけだと思われます。

同じ面でも作者や作られた年代も違い一つ一つ手作りの石見神楽面。全部表情が違います。
それを見比べることができるのが、また楽しく。

普通はこんなにたくさんの面に囲まれているとなんだか疲れてしまいそうですが、
何故か落ち着き何時間でもいたくなるような不思議な空間です。




石州神楽堂の昔の大蛇の面
ん?この角の生えた面はなんだ??

比較的古い面が飾られている壁の隅に、なんだか異質な存在感を放っている面を見つけました。

(こんな獣みたいなのが出る演目ってあったっけなぁ??)

「竹内さん、あれって何の面ですか?」と聞くと、

「大蛇!昔の大蛇!昔はあれを被って衣裳を着て大蛇を舞うとったんだ。」


へぇ~!! よく見ると下あごが動くようになっています。角も生えて耳もある。

「ほんとだ大蛇だ~!」とびっくり!!!!!

石見神楽の代表的演目である「大蛇」。明治の頃までは、この面をかぶって鱗を描いた白衣と股引で
登場していたそうです。



石州神楽堂の石見神楽面
かぶる面だけでなく飾り面もあります。

竹内さんは、石見神楽面だけではなく石見神楽の成り立ちから現在の神楽までとっても詳しく話題が豊富!
たくさんお話してくれるので、石見神楽にあまり詳しくない私でもとっても楽しい時間を過ごすことができました。

竹内さんの願いは、石見神楽の伝統が正しい形で守られて末永く続いていくこと。

石見神楽面を通して見守ってきた愛する石見神楽が、見せる神楽ではなく、基本に忠実に研究を続けて
いつか文化財として登録されることを切に願っておられます。

また、せっかく日本遺産になったんだから、何か浜田に無いと!という気持ちでこの石州神楽堂も開放されています。



石州神楽堂の石見神楽面
最上部に並ぶ五神の面が50年の節目にお願いした面だそうです。

「あの面は、50年の節目に最後に作ってくれんか?と柿田に頼んだんだ。」

「え?もう買わないんですか?」

「買わんことないわ~な(笑)見りゃ~欲しゅ~なるけーな!」
  ※柿田=柿田勝郎面工房

「え~!!!!(爆笑)」


突然の「最後」という言葉に反応すると、あっけなく撤回(笑)
これがコレクターたる由縁でしょう(笑)


「私に対して作ってくれたんだから覚えてる。忘れない。大事にしてる。もらったものも大事にしてる。」

全部覚えてるんですね。と問いかけるとこう答えてくれました。

ただ集めているだけではなく、それぞれに思いがあって大切にしている。その気持ちにとても感銘を受けました。

竹内さんのコレクションはまだまだ続きます。




その後、自宅の道路を挟んで迎いにあるもう一つの建物へ。


石州神楽堂の長浜人形のお部屋
第2の石州神楽堂
石州神楽堂の長浜人形
島根県ふるさと伝統工芸品・長浜人形
石州神楽堂の長浜人形
菅原道真、加藤清正、金太郎などなどたくさん並んでいます。男の子の誕生や成長のお祝いに送られていました。
石州神楽堂の長浜人形
長浜人形のお雛様。下の方は古いものでしょうか。
石州神楽堂の長浜人形
女の子の誕生や成長のお祝いにはこのような長浜人形が送られていました。

もう一つの建物には、色とりどりの『長浜人形』がたくさん飾られていました。

ここもまた、何故か落ち着く不思議な空間。

朝10時頃におじゃまして、お昼の12時をまわっていたのに、まだまだ話は尽きません。

結局3時間くらい長居してお話を聞かせていただきました!


竹内さん、たくさんのお話ありがとうございました。


石州神楽堂の竹内惟臣さん
芸能人の西田敏行さん似の竹内さん♪御年80歳。とってもお元気です。

石見神楽面愛好家・竹内惟臣さんの石州神楽堂は、浜田市大辻町にあります。

ご自宅の一角に構えておられますので、外観は普通のお家です。
事前の予約で快くご案内いただけますので、ぜひ訪ねてみてくださいね(^-^)



【google map】

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今回見学させていただいたのは、
『石州神楽堂(せきしゅうかぐらどう)』
  島根県浜田市大辻町128-12
  TEL 0855-22-7532
  営業時間 9:00~17:00(不定休) ※要事前連絡
  URL  https://kankou-hamada.or.jp/guidepost/6541

さんです。ありがとうございました!

(おまけ)
竹内さん自作の神楽殿!すごい!

石州神楽堂の手作り石見神楽舞殿